ごあいさつ
ごあいさつ
平成24年7月1日以来、生化学分野主任教授として研究室を主宰しています。当研究室では、細胞分裂のリン酸化制御を中心に解析を行い、独自の視点から新たながん治療標的の創造を目指しています。
タンパク質のリン酸化/脱リン酸化は可逆的な反応であり、シグナル伝達のONとOFFを制御します。細胞分裂に関与するタンパク質のリン酸化修飾は数多く知られていますが、未だ未解明の部分が多く存在します。最近、受容体型チロシンキナーゼEphA2が細胞分裂に関与することを見出し発表しました。さらに、それ以外にも細胞分裂への関与が示唆される受容体型チロシンキナーゼを複数見出しました。多くのがんでは、受容体型チロシンキナーゼの制御異常が知られており、増殖シグナル、生存シグナルへの影響に加えて、細胞分裂への影響も細胞のがん化や悪性化に関与している可能性が示唆されます。
また、チロシンリン酸化シグナルが破綻した状態の実験的モデルとしてv-Srcを用いた研究も行っています。v-Srcは細胞分裂異常を引き起こすことや、Hippo経路を不活性化すること、細胞分裂異常を介して抗がん剤耐性を誘導することなどから、この研究により、チロシンリン酸化シグナルが破綻したがんの治療において有用な情報を提示できると考えています。
さらに、細胞分裂での機能があまりわかっていない、いくつかのタンパク質についても解析を進めています。新たな制御機構の解明に迫っています。
実験の好きな学部学生さん、私たちとともに知恵を絞って大きな課題に取り組み、知的好奇心を刺激しながら研究活動にどっぷりと浸かってみませんか。 簡単に結果が出るようなものではないので、すぐには研究が面白いと感じられないかもしれません。実験結果に一喜一憂しながらも、地道に努力を重ねることで得られた結果に大きな喜びを感じることでしょう。そこで初めて研究が面白いと思えるかもしれません。その時にはきっと自分自身の成長も感じられるはずです。
研究者を目指す大学院生、ポスドクの皆さんも募集しています。卒業生、修了生は、大学教員として、また、製薬企業の研究者としても活躍中です。興味があれば、ご連絡ください。
2022年12月7日
生化学分野 教授 中山 祐治