研究内容 of seiri-j



HOME > 研究内容


が ん」の克服を目指した治療開発研究

本学発のがん分子標的治療薬の創製


HP図②.jpg


私たちは本学創薬科学系分野が所有する化合物ライブラリーから
Wnt/β-カテニン経路阻害化合物、ならびにがん転移抑制阻害化合物の
探索研究に本学創薬科学系分野と共同し取り組んでいます。
ヒット化合物を発掘し、構造活性相関解析および標的分子探索を行い、
本学発のがん分子標的治療薬を世界に発信いたします。






(1) Biochem Biophys Res Commun (2017) 484:262-268
(2) BMC Cancer (2017) 16:748
(3) Biochem Biophys Res Commun (2016) 484:63-67
(4) Cancer Sci (2015) 106: 665-671.
(5) Blood Cancer J, 1, e43;doi:10.1038/bjc.2011.41.
(6) Cancer Lett (2011) 312:91-100.
(7) Expert Opin Ther Targets (2011) 15:873-887.
(8) Clin Cancer Res (2009) 15:2731-2738.

造血器悪性腫瘍に対する新規治療法の開発

 私たちは白血病や多発性骨髄腫といった造血器悪性腫瘍(血液がん)に対する新しい分子標的治療法の開発に取り組んでいます。今まで行ってきたWnt/β-カテニン経路阻害化合物開発に加え、現在、米国企業と共同でエピジェネティック制御による新規分子標的薬の開発研究を行っております。


(1) Biochem Biophys Res Commun (2017) 484:262-268
(2) Cancer Sci (2015) 106: 665-671.
(3) Leukemia (2013) 27:619-628.
(4) Blood Cancer J (2011) 1, e43;doi:10.1038/bjc.2011.41.
(5) Proc Natl Acad Sci USA (2011) 108:17468-17473.
(6) Cancer Lett (2011) 312:91-100.
(7) Expert Opin Ther Targets (2011) 15:873-887.
(8) Oncogene (2011) 30:2789-2797.
(9) Cancer Sci (2011) 102:591-596.
(10) Blood (2010) 116:2089-2095.
(11) Clin Cancer Res (2009) 15:2731-2738.


がん幹細胞の根絶を目指した治療法の開発

スライド2.JPG 近年、がん組織を形成・維持できる少数の幹細胞様のがん細胞(がん幹細胞;CSC)と、幹細胞様の性質を持たない非がん幹細胞がん細胞(non-CSC)によりがん組織は形成され、CSCが遠隔転移やがん治療後の再発に関与しているといわれています。また低酸素環境は、がん幹細胞維持に非常に重要ながん微小環境であり、非がん幹細胞がん細胞が低酸素環境にさらされることによりCSCの性質を獲得し抗がん剤に抵抗性を示し再発の原因の一つと考えられています。そのため、低酸素環境におけるCSC維持分子機構の把握、CSCの性状、動態の把握およびCSCをターゲットとした治療開発は、がん克服のための最重要課題といえます。現在、酸性環境を制御するイオン輸送体や抗酸化作用を有するDJ-1タンパク質に着目し、低酸素環境下のCSC維持メカニズムの研究を行っています。



(1) Biochem Biophys Res Commun (2018) 496:490-496
(2) J Physiol Sci (2016) 66:387-396
(3) Cancer Lett (2011) 312:91-100.
(4) Cancer Sci (2011) 102:591-596.
(5) Cell Death Differ (2010) 17:1211-1220.

がん細胞特異的ドラッグデリバリーシステムの開発

スライド3.JPG  RNA干渉とは2本鎖RNAによって配列特異的に標的RNAが分解され、その結果遺伝子の発現が抑制される現象で、植物、線虫、ショウジョウバエ、哺乳類、ヒトなどほとんどすべての生命体に保存されています。RNA干渉の引き金となる2本鎖RNAは、約21~25塩基対のshort(small) interfering RNA (siRNA) と呼ばれ、このsiRNAはアンチセンス側の塩基配列に相補的なmRNAを標的として分解し、非特異的な作用が少ないため、医薬品として医療への応用が期待されています。いくつも臨床試験が開始されていますが、その大半は局所投与によるもので、全身性投与による臨床試験は数少ないのが現状です。その最大の問題点は、がん細胞特異的にsiRNAを導入できる有効なdrug delivery system (DDS) が未だ開発されていないことにあります。現在わたしたちの研究室では、エクソソームや抗体結合型DDSに注目し、学内外の研究グループと共同でがん細胞特異的に導入できるDDSの開発を行っています。


(1) Biochem Biophys Res Commun (2015) 456:768-773.
(2) Curr Drug Targets (2010) 11:345-360.
(3) J Clin Bioinformatics (2011) 1:6.
(4) Cancer Lett (2010) 294:245-253.
(5) Clin Cancer Res (2009) 15:2731-2738.
(6) Mol Cancer Ther (2008) 7:2904-2912.
(7) 癌と化学療法 (2010) 37:2033-2041.
(8) 最新医学 (2006) 61:1102-1109.


エクソソームの生体内機能の解明

 エクソソームとは、径100 nm前後の細胞内顆粒であり、多くのタンパク質やmRNA、miRNAを含有しており、細胞間情報伝達顆粒として注目されています。私たちは、このエクソソーム膜を用いたDDS開発研究を行っています。またエクソソームの機能解析として、エクソソームの造血幹細胞機能への影響、ならびに悪性腫瘍の病態進展への関与を明らかにすべく研究を行っています。

(1) Biochem Biophys Res Commun (2015) 456:768-773.

γδT細胞を用いたがん免疫細胞療法の開発

IVIS vivo shimizu.tif
 γδT細胞はT細胞の一種で寄生虫などの感染時、自然免疫機構に関わる細胞です。このγδT細胞はビスホスホネート製剤 (BP) で大量培養可能で、かつBP にて刺激した悪性腫瘍細胞に対して抗腫瘍効果を発揮します。私たちは、γδT細胞を用いたがん免疫細胞療法の開発をめざし研究を行っています。


(1) Int J Urol, in press
(2) Oncoimmunology, (2018) 7: e1424671
(3) Biochem Biophys Res Commun (2015) 463:660-665.
(4) Cancer Immunol Immunother (2009) 58:493-502.
(5) Biochem Biophys Res Commun (2007) 352:635-641.
(6) BioClinica (2007) 22:1036-1050.

造血幹細胞」の機能解析研究

造血幹細胞維持機構の解明

 造血幹細胞は、あらゆる血液細胞に分化する能力を有する組織幹細胞で、骨や血管、神経細胞、などの骨髄微小環境との相互関係により骨髄内で維持されています。私たちは、骨髄微小環境から産生させる因子による造血幹細胞維持機構の解明をめざし研究を行っています。 

(1) Stem Cells (2014) 32:2245-2255.
(2) PLoS One (2010) 5:e11114. doi: 10.1371/journal pone.0011114..
(3) Exp Hematol (2000) 28:311-317.
(4) Eur J Haematol (1998) 60:86-92.
(5) Blood (1997) 89:3186-3191.
(6) J Cell Phyisol (1997) 171:343-356.


アルツハイマー病」の新規治療戦略の開発

アルツハイマー病脳の病変

剖検脳.jpg アルツハイマー病(Alzheimer’s disease;AD)の最大の危険因子は老化である.高齢化社会が進む日本においてAD患者数は増加の一途をたどり,介護に要する労働力不足や医療経済上の問題からもADは社会問題にまで発展している.しかし、現在臨床で使用されている治療薬は対症療法薬であり,根本的治療を目指した疾患修飾薬の開発が期待されている.AD病態形成機序解明の手掛かりはAD患者脳で観察される老人斑,神経原線維変化や神経細胞死などの病理学的変化である.老人斑はアミロイドβタンパク質(amyloid-β;Aβ)が細胞外で蓄積して形成され,神経原線維変化は異常にリン酸化されたタウタンパク質(タウ)が神経細胞内で蓄積することで形成される.このようにAD患者脳では特有の脳病変が生じているが,この異常の解明がAD病態形成機序解明さらには疾患修飾薬開発の鍵になると考えられている.特にAβの脳内蓄積はAD病態形成過程の初期から始まり,AD病態形成ならびに進展において中心的役割を担うことが示唆されており(アミロイドカスケード仮説),私達はAβを「脳の老化促進因子」としてとらえ,脳病変形成における役割や脳内からのAβ除去に関わる研究を進めている.

アルツハイマー病とミクログリア

116.jpg119.jpg AD脳のAβ蓄積部位である老人斑には,脳の免疫担当細胞であるミクログリアが活性化して集積していることがよく知られている.これまでに私達は,そのミクログリアのAβに対する反応性の意義について解析しており,ラットから培養したミクログリアにAβを処置するとミクログリアがAβを貪食して分解する機能を有することを見出した.そこで,このミクログリアの代償性のAβ貪食機能を促進することができれば,ADの新規治療戦略として開発できるのではないかと考えている.

ミクログリアのAβ貪食機能の促進

・薬理学的制御
120.jpg ミクログリアのAβ貪食機能の促進にガランタミン処置が有効であることを札幌医科大学や三重大学との共同研究により見出した.ガランタミンは2011年に日本でも臨床使用が開始されたAD治療薬である.ガランタミンはアセチルコリンエステラーゼの阻害作用とニコチン性アセチルコリン受容体(nicotinic acetylcholine receptor: nAChR)の増強(allosterically potentiating ligand: APL)作用を有している.また,ミクログリアにもnAChRが発現していることが知られている.そこでラットミクログリアを用い,Aβ貪食機能に対する作用を解析したところ,ガランタミンがミクログリアのnAChRを刺激してAβ貪食を促進することを発見した.作用機序として細胞内に流入するカルシウムがカルモジュリン,カルモジュリンキナーゼIIや低分子量Gタンパク質のRac1を活性化させアクチン細胞骨格の再構築を誘導する結果,Aβ貪食が促進されることが分かった.さらにガランタミンをADモデルマウスに長期投与すると脳内Aβ蓄積が減少し,学習・記憶障害も改善されることを世界で初めて示した.この成果は臨床でのガランタミンの有用性とミクログリアのnAChRがAD疾患修飾薬開発における新規標的となり得ることを示唆している.そこで現在ではミクログリアのnAChRをターゲットとした創薬を目指した研究に取り組んでいる.

・移植療法による促進
 積極的な脳内Aβの除去手段として,移植療法を考案して解析している.私達はこれまでに,札幌医科大学や滋賀医科大学との共同研究を通じて,脳にAβを投与したラットに培養したミクログリアを移植し,MRIや組織学的解析を用いて解析した結果,移植したミクログリアがAβ蓄積部位を認識して集積することや脳内Aβの分解が促進されることを発見した.
115.jpg121.jpg つまり,脳内へのミクログリアの移植が新規AD治療法として期待されるが,ヒトでの臨床応用を考慮した場合,脳内細胞であるミクログリアの調製は困難を極める.そこで現在では既に国内でもバンク化が整備されている骨髄幹細胞や体性幹細胞に着目して,分化誘導によるミクログリア様のAβ貪食細胞の調製,さらにはその移植によるAD治療戦略の開発に向けた研究に取り組んでいる.その基礎となる脳内に存在する内在性ミクログリアそのもの発生や機能にも焦点を当てている.

(1) Neurobiol Aging (2018) 62:197-209
(2) J Alzheimers Dis (2017) 55: 67-72
(3) EMBO J (2015) 34:1603-1605.
(4) J Alzheimers Dis (2015) 44: 409-423.
(5) Int J Alzheimers Dis (2012) 2012: 685739.
(6) J Addict Res Ther (2011) S5:001: 1-5.
(7) J Biol Chem (2010) 285: 40180-40191.
(8) FEBS Lett (2007) 581: 475-478.
(9) Eur J Neurosci (2007) 26: 2458-2468.