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京都薬科大学 生命薬科学系
Kyoto Pharmaceutical University Division of Biological Sciences
公衆衛生学分野
Department of Public Health
〒607-8412 京都市山科区御陵四丁野町1
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私たちはヒトの健康維持を目的とし,「複数の生物種を活用した有用化合物の創出」に挑戦しています.

公衆衛生学分野では,食品等として利用されている植物およびその内生真菌を活用し,日本人の約1/2が一生のうちに罹患する「がん」および生活の質を著しく低下させる「神経変性疾患」の予防を目指した研究を展開しています.具体的には,1.植物―内生真菌間相互作用を利用した化合物創出法の確立・応用ならびに 2.創出した化合物の疾病予防能評価・作用機序解明を行っています.

1. 植物―内生真菌間相互作用を利用した化合物創出法の確立

植物内生真菌は植物の組織内に生息し,宿主に対し病原性を示さない真菌を指します.一部の植物では,内生真菌が共生することで,植物組織内の有用化合物含量が増加することが知られています.さらに,過去に植物成分として知られていた化合物が,内生真菌により産生されていることが明らかとなったこともあります.このことから植物内生真菌は宿主に対し,生合成遺伝子の活性化,生合成中間体の供与,あるいは植物・真菌双方の生存に有利な化合物の産生を担っていると考えられます.本研究では,従来の植物成分探索では得られない新規天然由来医薬品シーズ創出法の構築および疾病予防に有効な化合物の創出を目的とし,植物―内生真菌間相互作用に関わる分子を明らかとし,さらにその作用機序を解明します.

2. 疾病予防に貢献できる化合物の探索

これまでに当分野が構築してきた天然由来化合物ライブラリーおよび 1.の研究を通して得られた化合物を活用し,疾病の予防に寄与できる医薬品シード化合物の提案を目指します.具体的には,熱ショックタンパク質 (HSP, Heat Shock Protein) およびがん幹細胞 (CSC, Cancer Stem Cell) を標的とした化合物を見出し,その作用機序を解明します.

2-1. がん再発予防能評価

HSPは種々のがん細胞において高発現し,抗アポトーシス作用を介して抗がん剤の治療効果を減弱させます.近年,HSP がプロテアソーム阻害剤ボルテゾミブ (BTZ) により発現誘導され,BTZ 治療の有効性を減弱させている可能性が報告されました.すなわち,BTZ が誘導する HSP 発現を阻害できれば,BTZ による骨髄腫治療後の再発を予防できる可能性があります.当分野では,レポーター遺伝子導入細胞を用いた活性化合物探索を実施するとともに,その作用機序解明研究を行います.

2-2. 神経変性疾患に対する予防能評価

HSP は正常細胞において,タンパク質のリフォールディングおよび脱凝集を担う有益なタンパク質です.一例として,HSP はタンパク質の凝集が主な要因であるとされる神経変性疾患の予防に寄与している可能性があります.そこで,前述したレポーター遺伝子導入細胞を用い,HSP の発現を誘導できる化合物を探索し,見出した化合物の神経変性疾患予防能を評価します.

2-3. がん幹細胞駆逐能評価

CSC は種々のがん細胞中に少数存在し,多分化能を持つことから,がん細胞の発現遺伝子を多様化させ,治療を困難なものとする一因と言えます.さらに,CSC は既存の抗がん剤に抵抗性を持ち,抗がん剤治療後の再発に深く関わります.我々は CSC 様細胞を用い,CSC を駆逐できる化合物の探索を行っています.


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