生理活性脂質代謝の変動とその病態生理学的意義に関する研究
哺乳類の生体内には、多種多様な脂質分子種(実に1,000種類以上)が存在します。脂質の役割として有名なのは、「エネルギー源」、「生体膜の形成」、そして「生理活性脂質の産生を介した生体調節機能」です。私たちの体を構成する細胞は生体膜により覆われ、また細胞の中にも生体膜で形作られる様々な細胞小器官が存在しています。すなわち、生体膜の代謝や、生体膜から切り出されて産生される生理活性脂質の代謝に異常が生じると、当該、あるいはその周囲の細胞の機能が障害され何らかの病態(表現型)が現れると考えられます。近年、その一部が徐々に解明されはじめ、様々な生体膜代謝異常・生理活性脂質代謝異常が疼痛やアレルギー、自己免疫疾患、さらにはがんに代表される難治性疾患にも関与することがわかってきました。しかしながら、脂質は「水に溶けにくい」性質に加え、その膨大ともいえる多様性のため、まだまだ多くの課題が未解明のまま残されています。私たちは、脂質の中でも特に生理活性脂質に着目し、その生理学的・病態生理学的役割の解明という難題に取り組んでいます。
特に現在は、スフィンゴ脂質と呼ばれる脂質クラスから産生される生理活性脂質であるスフィンゴシン 1-リン酸(S1P)やセラミドなどの代謝と様々な炎症性病態との関連について興味を持って研究を進めています。
また、生体内でのペプチド性シグナルと生理活性脂質のクロストークにも興味を持っており、髙山准教授が創製したペプチド性化合物を投与したマウスにおける生理活性脂質代謝の変動解析も行っています。

