研究プロジェクト
腫瘍など疾患部位は、ヘテロな環境であることが明らかとなりつつあります。マクロ的視点では明らかにできなかったミクロな環境(微小環境)の特異性を解明することによる、従来ドラッグデリバリーシステム(DDS)で不可能であった疾患部位特異的な薬物送達の開発が必要です。他方、これまでin vitro研究とin vivo研究間における大きなギャップの存在が問題となっています。これは、生体を「均質なもの」として捉えることが大きな原因と考えられます。すなわち、生体のヘテロ性(特異な微小環境)を正確にとらえ、それに基づいてDDS戦略を立脚することが重要です。本研究では、腫瘍・メタボリックシンドローム・感染症等の疾患微小環境情報を探索し、その特異性に応答可能な革新的インテリジェントナノDDSの創成を目的とした研究拠点形成を目指します。
本研究組織は、1)疾患微小環境の特異的特性の探索、2)微小環境応答性インテリジェントナノDDSの開発、3)疾患微小環境におけるナノDDSの機能性評価、の3班から構成されます。2班には他大学(国立大学および公立大学)からナノDDS開発の専門研究者2名が加わります。各班は、PD・RAを含む若手研究者が自由な発想で研究を展開し、班研究代表者が研究目標へと導くことで、研究進展を促します。1班は、得られた情報をナノDDS開発班に提供し、3班は対象ナノDDSの問題点を2班にフィードバックします。