Ephexin4のSer41リン酸化修飾による機能制御
Ephexin4はRhoGのグアニンヌクレオチド交換因子(GEF)であり、RhoGの活性制御を介して上皮管腔組織形成やエフェロサイトーシス制御に関与します。種々の癌細胞において過剰発現が報告されており、細胞増殖亢進、アクチンリモデリング制御を介してがん細胞の浸潤や転移亢進、PI3K/AKT経路活性化を介した細胞生存に寄与します。
これまで当分野では、受容体型チロシンキナーゼEphA2シグナルの下流でEphexin4が活性化し、RhoG活性化に関与することを報告しました。これはEphexin4が細胞分裂に関与することを初めて明らかにした研究です[1]。Ephexin4のノックダウンにより、細胞分裂の進行が遅延し、染色体の整列異常が引き起こされます。細胞分裂期において活性化したGTP結合型RhoGは細胞膜に局在します。RhoGをノックダウンすると、サイトカラシン存在下においてブレブ形成を誘導することから、細胞膜の剛性にEphexin4/RhoGシグナルが関与し、紡錘体形成に影響を与えていると考えています。
さらにEphexin4は、イヌ腎臓上皮由来MDCK細胞によるシスト形成に関与し、過剰発現させると形成異常を引き起こします。シストはin vitroで生体内の腺管構造を再現したものであり、Ephexin4が上皮細胞の形態形成や細胞極性化に重要な役割を持つことを示唆しています。過剰発現による極性異常が、細胞分裂紡錘体軸の配向異常を介してシスト形成異常を誘導すると考えられ、これは多くのがん細胞で観察される現象とも合致しています。
また、Ephexin4のノックダウンやSer41リン酸化阻害は、ビンクリスチン感受性を上昇させることを既に見出しています。リン酸化修飾は薬剤の標的候補となり得るため、ビンクリスチンとリン酸化阻害を併用することで副作用を軽減できる可能性や、リン酸化阻害単独でのがん増殖抑制効果など、新たな治療戦略への展開が期待されます。
- [1] Yasutake R, Kuwajima H, Yuki R, Tanaka J, Saito Y, Nakayama Y. Phosphorylation of Ephexin4 at Ser-41 contributes to chromosome alignment via RhoG activation in cell division. J. Biol. Chem., 301: 108084, 2025. https://doi.org/10.1016/j.jbc.2024.108084