「マルチトレーサーによる病態におけるバイオメタルの時空間分布解析
およびトランスレーショナル臨床研究」
安井裕之、羽場宏光、中村 任
4班は、本研究プロジェクトを通じて京都薬大を中心としたBM研究拠点を形成するため、他機関(和光理化学研究所、神戸大医、名古屋大医、市立堺病院、音羽病院等)との基礎的および臨床的連携プロジェクトを推進し、本研究の成果がトランスレーショナル・リサーチとして評価されることを目指す。病態時においてBMの体内分布が正常時と異なるという従来の報告に基づいて考察すると、それによって治療薬の作用メカニズムが大きな影響を受けることが容易に予想される。従来このような場合には、1つ1つのBMに関するデータは散見されるが、BMに関する網羅的なデータ解析やメタロミクス解析の報告は殆どない。
そこで、理研との基礎的共同研究により、マルチおよびシングルトレーサーによるセシウムやストロンチウム等BMの体内分布解析を各種疾患動物において検討し、健常時との違いを比較する。同時に、コールドBMをレーザーアブレーション-誘導結合プラズマ質量分析(LA-ICP-MS)法により定量し、組織中BM量をイメージング解析する。一方、各医療機関との臨床的共同研究により、供与される各種疾患(がん、感染症、腎障害、肥満・糖尿病、高血圧、心疾患)治療の患者血清を用いて20種類のBMをICP-MS法およびLC-ICP-MS法により定量する。BMレベルの網羅的データを、重回帰分析、判別分析、多重ロジスティック分析、主成分分析等の多変量解析により統計処理を行う。さらに、他の疾患バイオマーカーとの相関解析も実施し、最終的にはBMに基づいたトランスレーショナル・リサーチを通じてファルマコメタロミクスの妥当性を総合的に評価する。
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