文部科学省 私立大学戦略的研究基盤形成支援事業 (2012-2016)本文へジャンプ
バイオメタルと生体反応の連関解明に基づいた 疾患治療ファルマコメタロミクスの確立
1班 研究概要



「難治性疾患のメタロミクス分析と生体反応の連関解析」
                        小原 幸、辻本雅之、藤井正徳、天ヶ瀬紀久子

 病態時において、バイオメタル(BM : 鉄、亜鉛、銅、マンガン、セレン、クロム、コバルト、モリブデンなど)の体内分布が正常時と異なることが報告されており、その変動に伴い治療薬の作用メカニズムが大きな影響を受けることが容易に予想される。しかしながら、これまでにBMの体内分布変動と薬物作用(生体反応)との連関について詳細な検討は皆無である。
 そこで、1班では疾病罹患率が高いなど臨床的重要性の高い疾患として、慢性腎臓病(CKD)、心筋梗塞や圧負荷肥大心に伴う心不全、1型及び2型糖尿病、潰瘍性大腸炎をはじめとする炎症性腸疾患、アレルギーなどの免疫過剰応答、アルツハイマー病・ダウン症などの脳神経疾患を取り上げ、各々の疾患モデル動物の当該疾患部に含有するBM量を、誘導結合プラズマ質量分析(ICP-MS)法を用いて定量する。さらに、BMを必要とし様々な機能性を担うメタロプロテイン(メタロチオネイン、メタロプロテアーゼおよびメタロトランスポーター)の変動を把握する。疾病発症時や病期進行に伴う変動を正常時と比較することで、病態進展における組織含有BM・メタロプロテイン変動を定量的に把握することができる。
 また、治療薬投与時の組織BM・メタロプロテイン含有量と生体反応の変動を捉え、両者の連関を定量的評価することで、今まで解明されていないBMの体内分布変動と疾患および疾患治療時の薬物作用との連関を明らかにする。見出した結果をもとに、各種疾病時の細胞レベルにおけるBM・メタロプロテイン濃度変化に伴う細胞機能障害、および治療薬効果への影響を、分子レベルでメカニズム解明する。さらにBMの時空間分布を正常レベルへと人為的に調節することによって薬物の治療効果(生体反応)を向上させる手法解明・新たな治療薬開発に貢献することを目指す。





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